向精神薬「リタリン」について、厚生労働省は21日、都道府県を通じ、適正使用を徹底するよう全国の医療機関・薬局に通知した。
リタリン(一般名・塩酸メチルフェニデート)には、興奮・覚せい作用があるため、若者を中心に乱用が広がり、社会問題化している。通知は、各機関に対して適切な診断と処方を促すと共に、掛け持ち受診による大量処方や処方せんの偽造がないかの確認を求めている。(以下略・読売ソース部分引用)
すごいなぁ、某クリニックに立ち入り検査直後に国が動いてるよ。珍しいことです。
毎日が以前の立ち入り検査で詳しい記事を出してますね。
(記事1) (記事2)
(記事1部分引用)依存性の高い向精神薬「リタリン」の乱用が広がっている問題で、東京都と新宿区保健所は18日、適応症でない患者にリタリンを処方していたとして、医療法違反(不適切な医療の提供)の疑いで新宿区内のクリニックへの立ち入り検査を始めた。医師の裁量が幅広く認められている医薬品の「処方権」に踏み込んで検査を行うのは極めて異例だ。(中略)都医療安全課などによると、東京クリニックはリタリンについて▽十分な診察もせずに処方▽適応症は難治性・遷延性うつ病なのに、軽症のうつ病患者にも処方▽依存症など副作用の経過観察を怠っている--など、医療内容が不適切である疑いが強いとしている。(中略)このため同保健所は、口頭や文書で過去10回にわたり行政指導をした。しかし、その後も、適応症のない患者にリタリンを投与したり、同クリニックでリタリンを処方された患者が幻覚・妄想状態となって都内の病院に入院したとの情報をつかみ、医療内容の改善が図られていないと判断した。
(中略)は04年3月に開業。医療法違反の疑いが指摘されていることについて、(中略)院長は毎日新聞の取材にクリニックの職員を通じ「取材には一切応じられない」としている。【精神医療取材班】
(記事2部分引用)◇検索トップに表示 院長応援サイトまで
15日夜、日本最大の歓楽街、新宿・歌舞伎町。酔客や観光客を横目に、利用者が東京クリニックのある雑居ビルに次々と入っていく。その多くは10~20代の若者たちだ。10分ほどで出てきた利用者は、処方せんを片手に、近くの調剤薬局に向かう。受け付け終了の午後8時近くになっても、患者が途切れることはなかった。
中野区の男性会社員(35)は7年前からリタリンを服用して依存症になり、さらに薬の量を増やそうとインターネットで医療機関を探した。「リタリン」と打ち込んで検索すると、トップに「(中略)」の名前が表示された。ネットにはリタリンをすぐに出してくれる院長の「応援サイト」まで作られていた。(中略) 東京都と新宿区保健所が、薬に関する医師の処方権に踏み込んで医療機関を立ち入り検査するという異例の対応をとった背景には、(中略)と同様、不適切な医療行為をしている疑いのある医療機関に、警鐘を鳴らす意味が込められている。
薬の処方は、医師法により、医師の裁量に任せられている。とりわけ精神医療の分野では、医師による薬の処方が治療の大部分を占める。これまで、行政機関が聖域ともいえる「医師の処方権」に踏み込むのは「考えられないこと」(新宿区保健所幹部)だった。
しかし今回は、リタリンの処方について同クリニックに明らかに問題があると行政側が認定した。同区保健所が繰り返し行政指導しても、医療内容が改善されることはなく、「これ以上放置すると、逆に行政の責任が問われかねない」(都幹部)との判断があった。
業界関係者によると、抗うつ剤の市場は06年度で875億円で、5年前の2倍に増加。精神科クリニックも乱立している。医療関係者は「政府が年間3万人を超える自殺者を減らすため、うつ病の治療や予防の対策に乗り出し、抗うつ剤が使われやすい環境の中で、安易に処方されるケースが目立つ」と指摘する。実際、リタリンを不適切に処方する医療機関は相当数に上るとみられる。
国や医療機関は、今回の立ち入り検査の意味を真剣に受け止める必要がある。
政府責任にするのはどうかとは思いますが、毎日の夕刊記事(だけということはないでしょうが)でも国や会社が動くんだなぁ。
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