「路地の王さまだから王ろじ」荒木経惟も写真時代の日記で絶賛したとんかつのお店。新宿通り、紀伊国屋書店の先の、さくらやの大きい店舗から左に路地を入り、右の角にある。なんとこの店の創業は大正10年。「とんかつ」という名もこの店の先代が名づけ親とも言われている。
「名物トン丼」といっても、今はやりの吉野家や松屋と同じ豚丼系ではない。
ここでいうトン丼はカツカレーなのだ。カツカレーというメニューはない。トン丼と頼まなければならない。
独特なのは盛り付け方もそうだが、容器。なんと容器と下皿の部分がくっついている。カレー自体は、どちらかというとそば屋系をちょっと辛くしたような感じでどろりとしている。カツの衣も固め。かつ、丸い。リアルにBQグルメの味がする。すごい旨いのを期待されると困るが、大衆的な意味では美味しい。
かつて改装前に殺伐とした雰囲気で食べていたときは、店に熱気があったのをよく覚えている。安くはないんで、まあどっちかというと「新宿の文化財保護の観点で」行く人のほうが多いかもしれない。
ついまだ健在だと思うと、さくらやのショッピング、もしくは紀伊国屋・アドホックの帰りに、ふらっと入ってしまうお店だ。
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